こんにちは。
Larkです。
本日も構造計算書を読んでいきます。前々回で地震力の算出を確認し、前回はマクロな壁量確認を実施しました。今回は、この壁量バランスの確認になります。
shinshin-msi-thanks.hatenablog.com
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壁量があっても、壁の配置バランスが悪ければ捻じれが発生してしまう為です。その為に、重心と剛心(偏心率)を確認しバランスをチェックしていく訳ですね。それでは具体的に我が家の壁バランスをみていきましょう。
重心・剛心位置の確認
2階のみを貼っていますが、1Fも同様に算出されます。軸力をベースに重心位置が算出されます。次に剛心位置です。
剛心も重心と同様に耐力壁の剛性の中心を求めているだけですね。上図の様に、耐力壁が地震力に抵抗するので抵抗反力の加わる位置がずれるわけです。結果余計な捻じれ(トーション)が発生してしまいます。当然ですが、捻じれは偏心距離(重心と剛心間の距離)が大きくなるほど大きくなり、建物の捻じれ剛性(を距離に換算)が小さい程大きくなる事は定性的にも理解できると思います。
それでは先に進みます。
構造計算書上では上記の法規のフローに従って、層間変形角の確認になっていました。
層間変形角の確認
いきなりねじれ補正係数が出てきました。これは後から以下の様に計算されていました。
ねじれの影響が偏心距離とねじり剛性で補正係数として加わり、1以下の分は1のまま無視する形で加算されています。剛心を中心に重心方向の壁に加算されている為、我が家では、重心より北西側に剛心が偏心しているため、南東側の壁にねじれの力が付加されている事が分かります。
次に、負担せん断力の確認になります。荷重ケースがExorEyとWxorWyとありますが、Earthquake?の地震力とWind?の風圧力と想定されます。
Exを全て足すと、地震力のQiと一致しましたので、耐力壁の壁倍率で分配されていると想定して耐力壁剛性比で分配してみたら上記数字の負担せん断力に一致しました。
(水平剛性は無視しているっぽい??ですね。たまたま一致しただけかもしれませんが、算出方法が読み解けませんでした…。)これにねじれ補正係数を掛けて、設計せん断力を算出し、剛性で割り戻しをすると層間変位が無事算出されました。
1/150以上の変形角はありませんが、1F南面の壁がやはり一番苦しく1/178とか1/180という数字になってしまっていますね。(1/200を超えている…)もっと早く知りたかったぜ。
剛性率の確認
7割弱でこんなもんかというところでしょうか。2Fリビングにして1Fは比較的に壁を多くとっていますが、有効な耐力壁としては少し足りていない様です。飯塚先生がよくやる2Fデッキの手法は非常に合理的である事を改めて実感しました(笑)
偏心率の確認
各階での壁量・剛性バランスですが、やはり南面の剛性不足と南面に太陽光を乗せている影響か南北の偏心距離は少し大きく出てしまっていますが許容範囲でしょう。
という事で、許容応力度計算から層間変形角、剛心率、偏心率と耐力壁のバランス確認を実施致しました。壁量計算で終わってしまう事のリスクは実際に数字を追いかけて確認してみて十二分に実感しました。正直、許容応力度計算の地震力の算出すらにわかにまだ信用できなさそうなもんですが…。建築用地の微動探査が標準になって、しっかり地盤による増幅効果を定量化した上で許容応力度計算を実施する事が、本質的な安全で安心な構造計算なんだろうなぁと改めて実感した次第です。本当は市町村の建築課が中心になって取り組むべきな気もしますが…。また、詳細部材の詳細計算が記載されていますが一旦ブログへの記載はここまでとしておきます。
最後に兵庫県南部地震の倒壊ケースの調査結果を壁量と偏心率で整理されている動画を紹介して終わりにしたいと思います。