ルイス・カーンに学ぶ

 

こんにちは。

Larkです。

本日は久しぶりに「建築家に学ぶ」カテゴリーです。

今回は、ルイス・カーンを取り上げたいと思います。超有名な建築家なので、検索するとたくさんの記事が出てきますね。プロフィール写真もルイス・カーンのフィッシャー邸をお絵かきして作成させて頂いております。素晴らしい名建築!

先日の「間取りの変遷」を書く中で、改めて間取りの方程式に記載のあった

モノマネはオリジナリティの母
「モノづくりに真摯な人ほど、過去の事例に敬意を払い、盗めるところは盗みながら個性を磨くもの」

が少し引っ掛かったので、このルイス・カーンに敬意を払い、しっかり盗ませて頂いた内容を記事にしようと思いました。

 

さて、まずはルイス・カーンの作品から始めます。題材をエシュリック邸とフィッシャ

ー邸と悩みに悩んだ結果、両方取り上げます!(笑)

まずはエシュリックハウスから。私は中村好文さんの住宅巡礼でこのエシュリックハウスが取り上げられており、ここで初めて出会いました。外観です。

光なしに建築は存在しない。光こそがテーマである。

自然光を取り入れる事を最大のテーマに掲げているだけに大胆に配置された窓に加えてスタッコ塗りのグレージュ、木製建具の木目がシンメトリーに配置されています。好文さんも「建具を傷まない様に凹ませて配置し凹凸を加える事で、彫刻的な陰影とリズムを与えている」とコメントされています。前回記事のファサードの回でやった縦横比を分析してみると

予想通りの黄金比になっており、シンメトリーに分割されている左右は白銀比できれいに整列されていました。さらには、特徴的なT字のTOP部も白銀比と第2黄金比となっておりました。衝撃的!そりゃプロポーションが良いはずです。

次に間取りです。

真ん中に記載がある様に、ルイス・カーンは「サーブドスペース:(表の)居住空間」と「サーバントスペース:(裏の)サービス空間」を明確に定義・意識していたようで、これが交互に配置される様な構成となっています。1階2階ともこのサーバンドスペースがある事で、双方が回遊動線となっており、サーブドスペースが使い易い構成である事が分かります。(1見、2階の渡り通路なんかは無くしてしまいそうな部分ですが強い意図を感じます)

バスルームの隣の暖炉は風呂に入りながら暖炉の火を拝める仕様の様です(笑)また、上記の間取り図で最もびっくりしたのが方位です。大開口の窓は東面、上部ハイサイドも西面なんです。北の大開口は柔らかい光で良いと良く耳にもしますが、東の大開口ときたので衝撃でした。太陽高度の低い光も、植栽と木製建具を巧みに駆使して光を操っておる様です。こういう建具の使い方は初めてみました。

また、階段脇のスリットも自然光のスリットが入る仕組みとなっており芸が細かいです。加えて、南面の窓よりわずかに小さい煙突を配置する事で2本の縦スリットの光がまるで日時計の様に室内を照らす仕組みになっています。光の魔術師ですね。また、室内はプラスター(漆喰)の白と木で構成されており、T字ハイサイドの光が漆喰の壁と天井に広がっている様は…美しいですね。永田格子の記事の時も同じ気持ちになりましたが、動きのある光のラインで遊んでいる感じが固定されている間接照明と違って生き生きした躍動感があって良いですよね。

次はフィッシャー邸です。

フィッシャー邸は真四角と思いきや(底面はもちろん真四角)地下を除くと(斜面上からの建物部)は黄金比でした。青銅比が1:3.3なので、3つでほぼ四角となり地下を入れると立方体に見える構成になっていました。立方体なので言わずもがな幾何的な美しさがあります。

シェリックハウス同様に大胆に設置された窓はしっかり整列・連結されており、天井いっぱい迄窓を配置する事で自然光をしっかり取り入れています。こちらは立方体の木目に大開口窓、窓に反射する樹木、緑と木目の対比(コントラスト)は建物が自然と上手く周囲に溶け込む形となっておりエシェリックハウスとは異なる美しさを感じます。

構造は、光の形成者だ。2本の柱は、それらの間に光をもたらす。つまり、闇-光、闇-光、闇-光、闇-光。我々は、柱の中に原始の壁と開口部から展開した、単純で美しい律動的な美を自覚する。はじまりの時、壁は厚いものだった。壁は、人間を守った。人間は、外の世界の自由と可能性への願望を感じ取った。人間は、最初に粗野な開口部をつくり、それから悲しんでいる壁に向かって、こう説いた。開口部を受け入れることで、壁は今や新しい価値あるエレメントとしてのアーチによって、より高度なオーダーに従っていかねばならない。このようなことは、建築における光と構造のリアライゼイション(現実化)だ。

これに加えて、45°傾けて斜めに配置する事で光の表情を変化させています。

下から見上げる写真が撮影スポットなんでしょうが、この45°傾く事でキューブの奥行感がどの位置からも表現されてくる事もポイントかもしれません。また、傾ける事で「幾何学の固さを緩めている」らしいです。

フィッシャー邸もエシュリックハウス同様にサーブドスペースサーバントスぺースが交互に配置されています。カーンの言葉で「壁と開口から展開した律動的な美」と表現された様に、開口から入射した光と影が壁に当たり現れる美を、構造により(45°傾けて配置する事で)現実化させています。壁はエシュリックハウス同様に白のプラスター仕上げで光と影をきれいに投影しています。

窓際にベンチや暖炉、ダイニングテーブルが配置され、居場所を形成しています。大きな窓が外部の自然と自然光を最大限に取り込み、小さな連窓や木製建具等で風を取り込んでいます。

ルイスカーンの建築事例から、「最大限自然光を取り入れ、窓際に居場所をつくり、木製建具で光をコントロールする」という基本手法はしっかり反映させようと改めて感じました。特に、リビングの窓際ベンチ部の建具とリビング・畳小上がり間の建具は光と影を意識したつくりを徹底する、リビング窓際の壁は塗壁として光と影の表現を楽しむ!窓の先の外構も手を抜かない!

改めて全面漆喰仕上げにしたかった……。

本日は以上です。